medical&care「それいゆ」
医療と介護それから地域 つながる・価値創造
編集部コラム

兵庫県西宮市 「りえ先生のペットの未来クリニック」さんで動画作成のノウハウを教えていただきました。

ビジネスの世界では動画コンテンツの活用が一般化していますが、医療や介護業界も例外ではありません。
たとえば、病院案内に動画コンテンツを制作するところは急増中ですし、透析中に見てもらうテレビモニターに自院のコマーシャル動画を流す、なんてケースも出てきました。看護師や介護士の求人動画も圧倒的に増えていますよね。病院等の場合は、医療法による広告規制がありますから、誘因性のある情報提供は厳禁ですが、患者さんたちに、より丁寧な説明をするための動画活用は有意義です。

とはいえ、「動画作成なんてどこから取り組んで良いかわからない」、「診療所には撮影スペースなんてないよ」というお声も…。そこで今回は、兵庫県西宮市にあるりえ先生のペットの未来クリニック 渡辺りえ先生を直撃。動画作成の現場を見せていただき、作成のノウハウを教えていただきました。

渡辺りえ先生はこんな方

ペットの未来クリニック院長 渡辺りえ先生
クリニックのホームページより

【所属学会など】日本獣医皮膚科学会・獣医アトピー・アレルギー・免疫学会・耳研VEP(犬猫の耳の研究会)・日本小動物歯科研究会レベル4(最終コース)・日本動物病院福祉協会(JAHA)家庭犬しつけインストラクター・エキゾチックペット研究会・動物臨床医学会

専門性の高さから、クリニックがある兵庫県のみならず、関西全域、香川や広島、名古屋からもお客様がいらっしゃいます。ブログやFacebook、Instagram、LINEなども展開されています。

なぜYouTube配信をはじめたのですか?ってよく聞かれるけれど、答えは一つ。正しい情報をなんとか飼い主さんたちに伝えたい!

「インターネット等で間違った情報も多く出回っているの。飼い主さんたちが、ペットにとって“良かれ”と判断して行っていることも、専門家からみると、“危険”と思うことがあるの。」と話すりえ先生。当日の撮影を見学をさせていただき、その意味がよくわかりました。

この日は「鹿の角」についての情報提供動画を撮影されていました。ペットに縁のない私は「鹿の角」と言われても何のことかさっぱりわかりませんが、「鹿の角」を犬に与えることは、愛犬家さんたちの間で静かなブームなのだとか。しかしりえ先生は、この状況を危険視し、「与えてはだめ!」と撮影の中でおっしゃっていました。

「鹿の角は、(犬にとって)魅力的ないい匂いがするんです。だから、ワンちゃんにあげると大喜びします。ワンちゃんの嬉しそうな様子は飼い主さんも嬉しいから、あげて良いと思っている方も多いのですが、これは危険。犬猫の歯は肉を切る歯であってモノをつぶすようにできてないのです。」

「こんなに(鹿の角のように)固いものを噛んでいると、ワンちゃんの歯が破損するかもしれません。」

「硬いものを食べて歯を折ってしまうと、そこから細菌感染を起こします。この状態を放置していると、知らないうちに、彼らの寿命を縮めてしまうこともあります。」

「危険だからワンちゃんにあげないでほしいのに、“デンタルケアに良い”という触れ込みもあって…鹿の角は人気です。」

「人間が食べないような固いものはあげないでほしい。そう思うけれど、ワンちゃんたちは言葉を話せません。動物たちにとって本当に必要な情報を正しく飼い主さんたちに伝えたい。」

世界中から良いものを吸収

実は日本の獣医大学には歯学部にあたる授業がないのだそう。そこでりえ先生は、アメリカ歯科学会のトレーニングコースを受けるために渡米。ペット先進国であるアメリカの獣医歯科専門医に教えを請いました。

また同院では、日本の獣医師が開発した犬猫の耳のビデオオトスコープ療法も取り入れています。これは、耳道に硬性鏡を入れ、拡大画像で観察できるため、より的確に診断や治療ができるというもの。気持ちや痛みを伝えられないペットだからこそ、きめ細やかな診察を心がけています。

「今、犬猫のアレルギー問題になっているのだけど、アレルギーと思っていたら、実は歯周病や耳の感染で免疫が下がっていることが原因だった、なんてこともあるんですよ。」

以前はブログを中心に発信していたそうですが、動きやワンちゃんたちの息遣いも伝えられる動画のほうが「より伝わる」と感じているそう。「正しい情報をわかり易く伝えていきたい」と話してくださいました。

ギリギリのスペースで笑顔で配信
待合室の受付前で動画撮影

出来上がったYouTubeを見ていると、とてもそんな風にみえませんが、実際の撮影は、待合室のわずかなスペースで行われていました。病院の休診時間、患者さんが来るまでの時間を上手に活用して手際よく。こうなると「撮影スペースがないからできない」というのは、動画配信をやらない理由にはなりませんね。

機材状況
スイッチャーもそろえている充実ぶり
  • カメラは Sony の α6400
  • マイクはBlueMicrophones USBコンデンサーマイク Yeti

メインは上記のようです。そのほかにもスイッチャーやビデオカメラやスマホ、Wi-Fiマイクなどもお持ちでした。ただ、PCは低コスト&ハイパフォーマンスと最近評判のマウスコンピューターで、抑えられる費用は抑えている印象です。カメラやマイクにこだわるのは、「ワンちゃん猫ちゃんの表情や声も拾いたいから」。「人間が主人公ならスマホでもいいんじゃない?音声やライトにはこだわったほうがいいと思いますけど!あと三脚はグラグラしてしまうことがあるから、カメラにあったものを購入したほうがいいですよ!」と貴重なアドバイスもいただきました。

編集環境

「作業はスタッフに任せています。慣れない作業を一緒にやってくれるスタッフは私の宝物✨」

編集作業についてインタビューすると、りえ先生は、スタッフへの感謝の気持ちをとても大切そうに語ってくれました。「スタッフはみんな大事。職縁(仕事の縁)を超えたものを感じています」とのこと。考えてみれば、顧客(動物)のためとはいえ、“被り物をしてカメラに向かう”なんてこと、よほど心理的安全性が確保できている間柄でないとできません。

取材中に思ったこと

近頃、「血縁」「地縁」「仕事の縁」に続く第四の縁として、学問や趣味、価値観でつながる「知縁」が注目されていますが、「りえ先生は、スタッフさんにそんな縁も感じているのかもしれないな」と思いました。もう1つ、クリニック内での自作動画は、「PCや編集ソフトなどの環境だけを整えても難しいかもしれない」とも。きっと、スタッフさんとのパートナーシップが問われてしまいますね。

人柄や雰囲気さえ伝える動画

動画は圧倒的な情報量を持っています。テキストだけでは伝え切れない視覚聴覚情報も伝えられます。文字を読むだけ、音声を聞くだけ、映像を見るだけとは違い、音声×映像×文字(テロップ)がセットになった動画は、圧倒的なインパクトで人の感情に訴えることができるのです。これは皆様、実感としてわかるのでは?治療法の説明にしてもことばだけで伝えるより、画像とともに説明したほうが、患者さんの理解は深まりますよね。しかも今や高齢者でもスマートフォンは持っています。文字を読むのが難しくなってきた人たちには動画の方が受け入れられやすいのですから、これから先は、施設の紹介や院長の人柄紹介などに、どんどん動画が浸透してくると考えられます。

りえ先生のペットの未来チャンネルはこちら。ペットがいるご家庭は必見
ときにはこんなユニークな動画も
施設情報

りえ先生のペットの未来クリニック

〒662-0928 兵庫県西宮市石在町10-27(用海筋沿い、東三公園斜め前、東町バス停前)

TEL:0798-20-5876 TEL&FAX:0798-22-7188

ABOUT ME
瓜生千鶴
WEB SOLEIL 管理人。ヘルスケア経営研究所広報を経てM&Cパートナーコンサルティング所属。ミッションは医療や介護の現場で働く方の活躍を全国に広めること。つながりのある方にスポットをあてたりステージを用意することが得意。医療機関経営者の取材実績は300件超。結婚を機にリモートワーカーへ。