良いモノを作れば売れる、と言う時代はとうに終わっています。

これまでは、例えばメーカーが新製品を作った場合、そのモノが売れるか売れないかは、機能、性能、価格、利便性に影響されてきたのですが、今は、良いモノを作るのは当たり前になったからです。

マーケティングの文脈では、「経験経済」という言葉があります。これは、サービスの受け手にとっての経験が「価値」として残るように提供し、ビジネスを展開する方法です。Experience Economy(エクスペリエンス・エコノミー)という言い方をする方もいます。つまり、商材などモノとして売るのではなく、コトを販売することです。ユーザーがお金をかけて購入したいという意欲をかき立てるために、経験を通じたリアルな情報が求められています。

ここでの考えは、製品はあくまで顧客との接点の1つなのです。

大切なのはその製品を取り巻く世界観です。

一般企業でいえば、例えば店舗の雰囲気、コールセンターの対応、どのようなイベントやっているか、社会ニーズや問題にどう取り組んでいるのか。

これら全ての設定が1つのコンセプトでもまとめあげられていることが重要で、顧客は、その世界観を買い、企業は顧客に寄り添い続けることで利益を上げるビジネスモデル(カスタマージャーニー)に変わってきています。

ですから一般の企業は、こうした世界観を伝えるためにPR活動に勤しんでいます。

そしてこうした視点は、実は、医療や介護業界にこそ必要だと考えられます。昔であれば、医師の腕一本で評判は大きく変わっていたと思いますが、今は、医療は(難病対応や手術などは別として)ある程度標準化されており、価格も同一です。そうした中で顧客たる患者は、どこで、医療機関を選ぶのでしょうか。家からの近さというものは重要ですが、それ以外であれば、おそらく、その施設の世界観を見ています。

どのようなクリニックであるのか。どのような院長であるのか。受付の対応はどうなのか。どのような医療機関と付き合っているのか(連携先)などなど。

価値経済にご興味が沸いた方は、パイン&ギルモアの著作がお勧めです。ちょっと高いですが…。

おすすめ

コメントを残す