medical&care「それいゆ」
医療と介護それから地域 つながる・価値創造
労務管理

コロナ禍で、来院患者数激減!ボーナスカットを検討したい

Bonjour!それいゆ編集部・瓜生です。M&Cパートナーコンサルティング パートナーの石井洋(ひろし)先生から、7月のお原稿が届きました。先生には、医療機関経営者や介護施設経営者から寄せられたご質問に誌面で答えていただいています。

石井洋先生はこんな方

石井洋先生

社会保険労務士/(株)佐々木総研 人事コンサルティング部 部長/長崎出身。九州大学卒業。社会保険労務士。フットワークが軽く、かゆいところに手の届くコンサルティングで、主に若い経営者からの人気を誇る。就業規則や人事考課制度の見直しから、スタッフミーティングの開催など、幅広いコンサルティングを行う。セミナー講師の経験も豊富で、その場のニーズに合わせた柔軟なセミナーを得意。趣味はバドミントン・フットサル・旅行。

石井先生のコラム

新型コロナウイルス感染症の影響等もあり、来院患者数が大きく減少し、今後も収入の見通しが立たない場合、常勤職員の夏または冬の賞与を減額、または無支給にすることは可能でしょうか。

給与規程をはじめとする就業規則や雇用契約書の記載方法によって結論が変わってきます。YES、NOでお答えできないのが心苦しいですがケースバイケースなのです。というのは、賞与はそもそも、「労働の対価として法律上支払わなければならない月額の給与」と異なり、「賞与制度を設けなければならない」という法律上の義務はありません。しかし、就業規則等で賞与について明記している場合は支払う義務が生じます。

賞与支給について給与規程等に「支給すること」を明記している場合

賞与も労基法上の賃金と同様の扱いになります。その場合に賞与を支給しない、ということは違法となりえます。支給額についても「基本給の〇〇か月」ということを明確に記載している給与規程がある場合(もしくは雇用契約書にそういった記載がある場合)は、その支給額を支給しないことは違法となる可能性が高いといえるでしょう。

賞与について「会社の業績の著しい低下その他やむを得ない事由により、支給時期を延期し、又は支給しないことがある。」(厚生労働省就業規則雛型参照)といった文言がある場合

この場合、この新型コロナウイルス感染症の未曾有の影響を考えると、「やむを得ない事由」がある、として賞与無支給とすることも違法ではないといえる可能性が高いと考えます。

明確な規程や労働契約書に記載がない場合はどうなる?

長年の慣習で賞与支給がお互いに黙示の約束事がされている、と解釈される場合は、賞与を支給しないことはできない、と紛争時には判断される可能性があります。

法的なリスクを覚悟の上、賞与を減額・カットしたい

そうお考えになる経営者の方も多いと推察します。しかし、職員への影響を考えるとどうでしょうか。賞与を事実上賃金の一部としてローン返済を組んでいるケースも多く、その支給の有無は職員の今後の不安感・モチベーションに大きく影響します。賞与は本来業績や職員一人ひとりの働きに応じたものであるべきですが、医療機関や介護施設が1名の職員を確保することも困難です。離脱することにより大きな採用コストがかかる事にもなりかねません。下の図は、正社員の仕事に対するモチベーションの向上につながる雇用管理についての資料です。参考にしてください。

賞与減額の場合は状況を開示し、丁寧な説明を

給与や賞与などの待遇は、仕事に対するモチベーションに影響します。しかし、今は非常時。コロナ禍、医療機関経営、介護施設経営の影響は相当なものです。

こちらは、全日本病院協会からの報告ですが、いずれの病院も前年比から大きなマイナスとなっています。診療所においてもその影響は大きく、前年比から40%以上の減収となっているクリニックもあると報告を受けています。

まとめます

ボーナスカットはできれば避けたいですが、今は非常時。こうした状況を説明し理解を得る努力もしてみてください。ただ、その際は、患者来院数や業績がここまで戻れば通常通りの支給に戻すことを説明する等出口を示すこと。職員のみなさんとこの非常事態の中でいかなる取り組みを準備し、どう経営を成り立たせていくか。築いてきた信頼関係が試される時です。

ABOUT ME
瓜生千鶴
WEB SOLEIL 管理人。ヘルスケア経営研究所広報を経てM&Cパートナーコンサルティング所属。ミッションは医療や介護の現場で働く方の活躍を全国に広めること。つながりのある方にスポットをあてたりステージを用意することが得意。医療機関経営者の取材実績は300件超。結婚を機にリモートワーカーへ。