なぜ読書が大事なのか
冊子「それいゆ」で以前連載していたブックレビューですが、限られた紙面のためここ数年はできていません。
しかし、やはり読書は大切です。
きわめて低コストでできるのに、これほど学習効果があるものもありません。
まず、なんといっても、読書をすることで、自分以外の経験や思考が身に付きます。あるいは、膨大な研究成果に触れることもできます。
人の人生は有限ですから、できる経験も行ける場所も限られていますが、読書は、国や性別、はたまた時間さえ超えて、我々に様々な価値観を運んでくれます。
そういう理由から、冊子「それいゆ」では、スペースが取れるときは、ほんの数行になることも多いのですが、本の紹介をさせていただいています。
2021年1月号では、「イキ!イキ!現場リポート」のコーナーで『両利きの経営 「二兎を追う」戦略が未来を切り拓く』をご紹介しました。以下、「それいゆ」に掲載した内容です。
『両利きの経営 「二兎を追う」戦略が未来を切り拓く』
イノベーション研究の第一人者、クレイトン・クリステンセン氏による「イノベーションのジレンマ」は、誰もが知る有名な理論ですが、この理論を超える方法として近年提唱され、注目を集めている概念が、「両利きの経営」です。
一般的に企業は、事業が成立するに従い顧客の声に寄り添うあまりどんどん「深化」していき、イノベーションが起こりにくくなる傾向があります(イノベーションのジレンマ)。
この状況を回避するために必要なのが、「探索」です。(今回の事例で言えば、顧客の声に寄り添い透析医療にのみ特化していく事は「深化」で、そこにとどまらず視野を広げて「予防医療」の道を探すことは「探索」です。)
この「両利きの経営」こそ不確実性の高い時代には必要な視点と本書は教えてくれています。
著者について
チャールズ・A・オライリー
スタンフォード大学経営大学院教授
カリフォルニア大学バークレー校で情報システム学の修士号、組織行動論の博士号を取得。同校教授、ハーバード・ビジネススクールやコロンビア・ビジネススクールの客員教授などを経て現職。専門はリーダーシップ、組織文化、人事マネジメント、イノベーションなど。スタンフォード大学のティーチングアワードやアカデミー・オブ・マネジメント生涯功労賞などを受賞。また、ボストンのコンサルティング会社、チェンジロジックの共同創業者であり、欧米やアジアの幅広い企業向けにコンサルティング活動やマネジメント研修(破壊に対応するための企業変革や組織刷新、リーダーシップなどのプログラム)に従事してきた。スタンフォード大学のSEP(エグゼクティブ・プログラム)でも教鞭を執る。主な著書にWinning Through Innovation(邦訳『競争優位のイノベーション』ダイヤモンド社)、Hidden Value(邦訳『隠れた人材価値』翔泳社)などのほか、論文や記事の執筆も多数。