昨日は、「ザイオンス効果」についてふれました。「ザイオンス効果」とは、見慣れない人やモノであっても接する回数が増えれば増えるほど、その人やモノの印象に対して好感を持つようになる心理現象のことです。「ある刺激に繰り返しさらされることで、刺激に対する態度の変化が生じる」という、いわゆる「単純接触効果」のことです。社会心理学者、ロバート・ボレスワフ・ザイアンスさんが発表しました。

ロバート・ボレスワフ・ザイアンス

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%BB%E3%82%B6%E3%82%A4%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%82%B9

芸能人を見ているとよくわかると思います。最初は気にも留めなかった人でもテレビで何度となく見ているうちに次第に好感を抱くようになること、ありますよね。セールスの人が用もないのに会社周りをしたりするのもこの心理効果を狙ってのことです。せっかくの効果なので、連携室の方は、(新型コロナウイルス感染症の影響が落ち着いたら)連携先を回るようにしてください。

心理効果を活用し、縁起でもない話を

この特性を活用して、医療機関や介護施設の方に行っていただきたいことがあります。それは、アドバンスケア・プランニングに関する情報提供です。2018年の診療報酬改定から、アドバンスケア・プランニングは算定要件の1つに組み入れられていますが、医療従事者もご家族の方も避けたい話題なのか、まだまだ浸透しません。先日もある療養型の医療施設の方と話したのですが、「人生会議なんて名称からしてけしからん」という感じでした。診療報酬にも介護報酬にも組み入れられている項目なのですが…。

厚労省「令和3年度介護報酬改定の主な事項について」より
2021年4月から施行される介護報酬改定でもACPの新設項目がありました。

「人生の最終段階」とは、いわば死に際。これについて話しは、たしかに縁起でもないことですが、話を避けたところで人は死から逃げられるわけでもないのです。ならば、向き合い、そこから話を進めることでより納得した時間を過ごせるのではないでしょうか(「それいゆ」では、死に向き合うことでより納得した看取りを提供しているケースをいくつも取材しています)。また、話し合わないまま看取り期を迎えてしまうと、本人の意思に反した救急搬送などが起きてしまいます。令和3年1月29日、令和2年度全国メディカルコントロール協議会連絡会「厚生労働省からの情報提供」によれば、「看取り期における本人の意思に反した搬送例が散見」されるとのこと。

令和2年度全国メディカルコントロール協議会連絡会(第2回)「厚生労働省からの情報提供生労働省からの情報提供」

こうした事態を少なくするためにも、平時から縁起でもない話をしておくことが大切だと考え、今日は「人生会議をしよう」のチラシを作ってみました。医療機関や介護施設の皆様が、少しずつ語りかけていただければ、誰にでもやってくる「人生の最終段階」の時、本人の希望に近い対応がとれるケースが増えるかもしれません。

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