「何か良いアイディアがないですか?」とよく聞かれますが、アイディアなんてそうそうありません。時間をかけたから出るというものでもないですし(笑)そういう時に使う発想法をご紹介します。

思ってもいなかった言葉をトリガーに。エクスカーション着想法

モノや人あるいは場所からヒントをもらいどんどん発想を広げていく方法です。私は動物を使って着想しますが、トリガーにする言葉は何でもいいです。実際のケースを紹介します。

(例)zoomではじめるデイケアのイベントを着想してみる

猫へのイメージも人それぞれです。

コロナの影響のため、イベントができないデイケア・デイサービスから、

「zoomで何かイベントをしたいけれど、何も思いつかない。何をしたら良いでしょうか」

と相談を受けました。

相談を受けたものの、私もまったく思いつかなかったので、「それではみなさんで発想してみましょう」とやってみたケースです。

ステップ1 「猫」 から連想する言葉をどんどん書き出してください。

用意するもの…付箋(メンバー×30枚くらい←枚数は適当でOK

この日のメンバーは、私を含め3人でしたが、私はファシリテーター役でアイディア出しには参加していません(この発想法には、1人ファシリテーターがいるとスムーズです)。

ファシリテーターはメンバーに付箋を20枚配り次のように伝えます。

『「猫といえば」 で思いつく言葉を「1分」で「20個」書き出してください。

ポイントは「思いつくまま」に書き出していくこと。考える暇を与えないこと。

ファシリテーターはストップウオッチできちんと計ってください。

競技のように「よーいはじめ!」と声掛けしてプレッシャーをかけ、「時間内に何個出せるか?」と競うと盛り上がります。

そうすると、次のような言葉が出てきます。

だらだらとしないこと。考える隙を与えないことでアイディアを出してもらいますっ

時間がきたら、みんなのアイディアをホワイトボードに書き出す。

時間内に決められた数のアイディアが集まっていなくても気にする必要はありません。
時間制限を設けたのは、考える隙を与えないこと思いつきで書いていってほしいからです。
1人20個書き出すようにお願いしましたが、18個でも良いし、50個くらい出ちゃった、でも問題なし。

ステップ2 言葉と言葉を掛け算する

メンバーで出し合った無意味な言葉の数々に「アイディアにまつわる言葉」を掛け合わせていきます。今回の場合は、2名×20個なので、40個の「かわいい」や「にゃー」など無意味な言葉が出てきました。
これに「アイディアにまつわる言葉」を掛けていきます。
「アイディアにまつわる言葉」は、求めたい解に近づくキーワードです。

本ケースは、「zoomで始めるデイケアのイベント」を求めたいわけですから、掛け合わせる言葉は、「イベント」などが適当です。「レクリエーション」でも良いですね。

そして、その掛け算から連想することを書き出します。こんな感じです。

ステップ3 目的地に向かって連想をする

いよいよ目的に向かってメンバーで話し合います。

お題は、「zoomで始めるデイケアのイベント」でしたから、言葉の掛け算で出てきたイベントが「zoomでできるか」を考えていきます。

メイドカフェなんて真正面から考え始めたら絶対出てこないアイディアですが、調べてみると、メイドカフェ風サービスをやっているデイケアが実際にありました。

そうなると

「オンラインでもできるかもねー」

と盛り上がりました。

「にゃんぱく宣言」も偶然が生み出したアイディアです。これは、「日本動物愛護協会」のCMに使われている曲とのこと。私はなんのことか全くわかりませんでしたが、メンバーの方がさだまさしさんの「関白宣言」の替え歌だと教えてくれました。

お前を飼い主にする前に言っておきたいことがある。
かなり厳しい話もするが俺の飼い方を聞いておけ
俺の体、俺より管理しろ
家の外に、出してはいけない
飼えない数を、飼ってはいけない にゃ〜
忘れてくれるな
俺の頼れる飼い主は
生涯、お前ただ一人

にゃんぱく宣言  作詞・作曲 さだまさし

最終的にこのケースでは、「利用者さんとZOOMでつながり、にゃんぱく宣言を謳う」というイベントをすることになったのですが、こんなイベント、猫というキーワードがなければ出てこなかった発想です。

「有名な楽曲だし、面白い歌詞だし、Zoomで合唱すると楽しめるね」、「主人公を猫ではなくって利用者さんにしたら面白ね」と話し合いの過程もとても楽しくわくわくしましたよ!

普段全く意識していないけれど知っているモノ、事柄あるいは言葉を「ぽん」と出し、それをトリガーに幅広い着想ができるのがこの発想法の楽しさです。

多様性活かすきっかけに

医療介護業界は、専門職の集まりで、目には見えない職種や立場の壁がある。
だから意見が言い合えない。
ポジションのある人に遠慮して発言できない。
そんなことを言われることがあります。

確かによく聞く現実です。
けれどこれって、とてももったいないことです。

発言力のある「理事長」や「医師」より、患者さんや利用者さんに接する機会が多いパート介護職の方のほうが顧客に近い考えを持っている場合も多いのです。

ぜひ、このような遊びを使ってアイディアを出し合う愉しみを共有し、顧客の喜ぶサービスを生み出してください。

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