2020年10月に倉敷中央病院から倉敷中央病院リバーサイドに異動となり、事務長職となられたのですよね?大病院と中小病院の違いを教えてください。

これまで勤めていた倉敷中央病院(1,172床)と比べ、現在勤めている倉敷中央病院リバーサイド(130床)は、規模でいうと、1/10の違いがありますが、病院の基本機能は変わらないと感じています。そもそも、約8,400ある日本の病院の約7割に当たる5,790病院が200床未満の中小病院だそうです。倉敷中央病院がユニークな存在ということですね。

公益財団法人大原記念倉敷中央医療機構が、地域住民の皆様に一層の信頼を得られる医療を提供し、地域社会に貢献することを目的に運営する病院の一つ。前身は川崎製鉄株式会社(現JFEスチール株式会社)が従業員ならびに地域住民のために昭和58年4月5日に設立した川鉄水島病院ですが、平成15年4月1日、財団法人倉敷中央病院(平成25年4月1日、公益財団法人大原記念倉敷中央医療機構に移行)に移譲されました。一般130床(地域包括ケア病床80床含む)。(同院ホームページより)

地域連携も同じような感覚ですか?

こちらは想像以上に違っていました。リバーサイドの紹介患者さまは、自院内にある健康管理センターの要精査と倉敷中央病院の急性期後の転院入院目的がほとんどで、地域医療機関からの紹介はごく僅かです。診療エリアも狭く、創立に関係しているJFEスチール株式会社の従業員が多いようです。

その傾向は今後も続きそうですか?

変わってくるでしょうね。病院の裏に団地ができていますし、10年前に比べると人口も104%と増えています。そういった意味では今後は地域の他の医療機関とも連携する可能性があるのかもしれません。

地域の人口動態が変わった時、リバーサイドはどう動きますか?

スムーズに連携関係を構築できると考えています。
そもそも私は、長年、倉敷中央病院にて地域医療を経験しておりましたから、倉敷市内の事務長とは以前から話が出来る関係です。それに、倉敷中央病院からの転院を受けてくれていた病院の連携スタッフとも良好な関係です。もちろん、彼らとは、ある意味で「競合」になりますが、同じ規模の病院同士、力を合わせて地域医療に尽くしていけると考えています。実際、今も彼らからは、運営の課題、細かい運営ノウハウを教えてもらったりしているのです。地域連携のヒューマンネットワークには本当に助けられていますね。周囲に感謝です。

大病院での経験、他に活かせそうな点は?

今回の異動で今まで以上に経営に関与する役割になりましたが、これまでの経験が役立っています。収入と費用、将来への投資のバランスについて積み上げてきたことがいい経験になっていると思います。

今後の地域連携に向けて一言お願いします。

地域の年齢別の人口と罹患率からその地域で必要とされる医療提供力を考え調和の名のもとに合わせ込むことを自主的に行うのか、診療報酬により生きていくための収入が確保できるのか、その前に医師確保に行き詰まり縮小・廃業なのか。そのようなことを考えているのは、経営層以外では地域連携の実務者くらいだと思います。しかし、その実務者が学ぶ場所は限られています。全国連携実務者ネットワークは、本年度新しい体制に変わります。引き続き全国の仲間と一緒に学び、それぞれの地域で実践し、その結果を持ち寄りまた考え実践し社会・地域貢献できればと考えています。

十河事務長が考える連携トピックス

  • 国の進める地域医療構想は、公立病院に加え大学病院や地域医療支援病院の公的な病院が参加し議論します。中小規模の民間病院にはその議論に加わることもありませんし、政治的な介入もありません。地域連携で行政の方と話をする際に時々聞く、公が民力を阻害することへの配慮ということなのでしょう。
  • 東北エリアで地域医療構想に基づいた統合のニュースをよく見ます。岡山県内では、人口6万人弱の街で市民病院と企業立病院の統合案件が1つあるくらいで、東北に比べるとほぼないと言っていいくらいです。新型コロナウイルスの拡大で、受診患者数が減り地域での役割を見つめなおした方が多いと思います。
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