前回COVID-19のことについて書いた。でもまだCOVID-19!もう収束するかと一瞬思ったが、やはり感染拡大が起こっている。それどころか、ますます混迷を深め本当に戦時体制を感じさせる(小生は戦争経験のない世代である?)。

目に見えないウイルスとの戦い

今、我々は、感染拡大防止(終息に向かった)と経済活動の維持という2つの側面で戦いを強いられている。いわゆる二律背反の戦いである。
医療界に目を向けてみると、クリニックの患者受診抑制(感染を恐れて)による大幅な収入減、病院でも入院患者減とベッド稼動率の低下(収入減)といった状況に陥っている。この状況を少し検証してみよう。

http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20200909_2.pdf

上のリンクを開いてみてほしい。日本医師会が先月出したものだ。小児科、耳鼻咽喉科クリニックの患者数はかなり減った上に、少し感染が落ち着いても、患者さんの動きが元に戻らない状態が続いている。

はたしてCOVID-19前に戻るのか?

これはなかなか難しいだろう。クリニックについては、患者さん自身の受診行動の抑制もあるし、例年流行っていたインフルエンザ感染が今年(2019年~2020年)は激減(感染防止意識の向上も寄与している)した。さらに「今までが過剰診療だったのでは(受診者も含め)?」という指摘もあり…。

一方病院側もいろいろな意見があるようだ。

「COVID-19に対応できない」、「経営が持続できない」、「病床数がたりない」などなど。

しかし今、状況はまさに戦時下にあたる状況で、それをベースに論議するのはどうなのかと思うのは、私だけかな?

平時と同じ論点でいいの?

ある識者は、
“これまでの国の病床再編がCOVID-19感染患者の受け入れに影響したとの論調があるが、この病床再編(必要な地域に必要な機能の病床を再整備する施策)が進捗していないことがCOVID-19問題(患者受け入れ)を難しくしているのだ”と指摘している。なかなか考えさせられる指摘だ。戦争が終わって平和がきても戦前とはちがう平和になったように、我々はもうコロナ前には戻れない。これからの医療(体制)もポストコロナを見据えてもっと真剣に考えないと、二律背反の時代はさらに複雑になる。

岡 伊津穂

医学博士ICD感染制御医
NPO法人日本医療・福祉環境サービス法人 理事長
職業感染共済会 理事長/ 職業感染制御研究会幹事
特定非営利活動法人日本医療・福祉環境サービス協会(JHWESA) 理事長

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\それいゆ執筆陣/
佐々木直隆、岡伊津穂、中林梓、長幸美、納見将志、岩尾篤、石井洋、福田幸寛、新改法子

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