9日、「ハレノ日レシピ」に記事の提供をしてくださっている「鶴岡食材を使った嚥下食を考える会」の皆さんが、初の実食会を開きました。「それいゆ」でおなじみのメニュー、お寿司や豚の角煮、白子のグラタンに加え、寒ダラのどんがら汁、ティラミスなど5品を鶴岡市のデイケア利用者25人の方々に振舞われましたよ♡
生きててよかった!という声も
実食会の会場となったのは、鶴岡市の高齢者施設「オープンハウス奏(かなで)」。代表の小川豊美さんが管理栄養士で食には相当のこだわりがある施設です。そのため、日頃から普通の嚥下食は提供されていますが、日本料理の料理人やイタリアンシェフから提供される華やかなソフト食「ハレの日ゴハン」はやはり特別だったよう。「利用者さんの喜び方もいつもと違います」と小川さん。
心からの「生きてて良かった」
参加者のなかには、3年ぶりにお寿司を食べたという人もいました。「最高においしい」、「生きてて良かった」そんな声も数多く上がりました。
食事くらいで、生きてて良かった―?
「そんな大袈裟な!」とお思いでしょうか。いえいえ、そんなことはありません。食べることは生きること。楽しく食べることは、楽しく生きること。楽しく生きることができれば、「生きてて良かった」と思うことは当然です。
手の込んだハレの日ゴハン
以前紹介したレシピを見ていただくとわかりますが、例えば、お寿司の場合、どんな人でも飲み込めるように、シャリは全粥程度の柔らかさに仕上げ、安全に召し上がっていただけるように、卵焼きも海苔もミキサーにかけて成形しています。こんなお料理はそうそうどこでもいただけません。もしこの日、研究会の皆さんがこのイベントをしなかったら、過去3年間お寿司を食べられなかった方は、これから先、お寿司を召し上がる機会はなかったかもしれません。
感動が感動を呼ぶプロジェクト
さらに素敵なのが、嬉しそうに召し上がる高齢者の皆さんの姿を見て、この日、お料理を提供された、日本料理の料理人・延味さんやイタリアンシェフ・五十嵐さんも、施設のみなさんの方も、「嬉しかった」、「優しい気持ちになった」と心から喜ばれているということ。やっぱり、「ハレの日ゴハン」は最高です。
会の代表を務める瀬尾さんにも話しを聞きました。瀬尾さんは、「連携」をキーワードに株式会社を作ってしまったというユニークな方で、鶴岡をベースに、地域と医療機関、介護施設等をつなぐ活動をされています。今回のイベントに関しては、「介護施設スタッフの皆さんに、ハレの日のお料理、調理技術を見ていただくこともでき、意味のある活動となりました。施設で提供する場合の課題や、実際に食べていただいての感想、雰囲気もわかって良かったです」。
高齢者も若い人と同じように、いつでもどこでも地元のおいしいものを食べられる環境づくりを進めたい
今実食会は、市料理人等技術向上支援補助金の交付を受けての開催となりましたが、同会の活動は基本的にメンバーの持ち出し。資金面の課題は、社会的問題を解決しようと考える団体の共通の悩みですが、瀬尾さんたちのグループは、「お金がないからできない」とか「制度がないからできない」というマインドではなく、「自分たちの使命を果たしていくためにどうすればできるか」という視点で活動を継続しています。今回も当日の様子をzoomで中継し、オンラインセミナーとするという取り組みに挑戦しました。