従来の公的制度だけでは支えきれない問題が多くなってきています。居場所がない。漠然とした不安がある。自信がない。満たされない。そんな「生きづらさ」を持つ人に来てほしい場所があります。

今月、インタビューした「とよなか縁結実」です。

ここは、日本地域統合人材育成機構の理事長 重田由美さん(看護師)が、大阪府豊中市より委託を受けて開いた、交流・支え合いの場です。医療従事者や介護従事者、市民、行政の人たちがゆるやかに交流し繋がっていきます。

重田由美さん(看護師)さん

-COVID-19の感染拡大が懸念される中、どのような活動をなさっていますか?

通常の「寄合場」活動を積極的にはできません。そこでマスクグリップを作り、医療従事者の方や市役所の方にお届けしたりしています。緊急事態宣言下も私たちは休館しましたが、その間も医療者の皆さんは最前線で働いてくれていました。そんな皆さんへ敬意や感謝の気持ちを届けることができないかと思って始めたんですよ。すでに1,000本以上作ってお届けしています。

市民の手によって作られたマスクグリップ

-マスクグリップとは?

長時間マスクをしていると、ゴムの締め付けにより耳が痛くなったり頭が痛くなるということがありますよね。そんな症状を緩和できたらと思って…。

重田さんたちが作成している「マスクグリップ」

マスクグリップは作る過程もいいのです。作りながらいろいろな話ができます。話し込んでいるうちにその方の人生にまつわるお話が聴けることもあります。ゆるやかな時間を共に過ごすことで、ここが安心安全の場となっていることを感じます。

マスクグリップ作成風景。小さなお子さんから高齢者まで。楽しみながら感謝を形に。

-素敵な活動✨COVID-19を巡っては、他者を排斥するような言動があちこちで聞かれましたもおね。とよなか縁結実さんでは、#(ハッシュタグ)をつけて応援メッセージも送っていますよね?

はい、送っています。私も医療従事者だからわかるのですが、医療従事者が地域の皆さんに貢献することは、仕事であって、感謝の言葉など期待していないのですが、仕事をやって差別や嫌がらせを受けるでは辛すぎます。

それでは医療従事者の気持ちの糸が切れてしまう…。

だからせめてエールを送ろうと緊急事態宣言下から始めました。ここは医療従事者と地域がつながるところですから!

医療現場の人への応援メッセージ

-コロナ禍で不寛容な社会が浮き彫りになりました。自粛警察なんて言葉も出たりして…

社会全体がギスギスしていて、なんだかおかしいという気はしています。常にイラつきながら、他人のあら探ししたり、些細なことに「キレる」人たちも増えています。

ただコロナの場合、経営的に追い込まれた人も多いですから、問題ある言動の裏側に課題が潜んでいることもあるのかもしれません。ここはそういう方たちもまるっと引き受けたいと思っています。

-緊急事態宣言下、相談はどのように?

オンラインで寄合場を作っていました。

「スタジオ縁結実」です。

市民の皆さんがオンラインに慣れていなくて、いつもより参加が少なかったけれど、それも良かったです。皆さんがオンラインに慣れていないことが分かりました。

これからはネットを使えるかどうかで生活の質が変わってきます。「集まれるようになったらスマホの使い方を教えたい」と次の目標も出来ました。

とにかくこの場所があることが大事。リアルに集まることができなくても、一人じゃないこと、私たちと繋がっていること、いつでも繋がることができることを発信できて良かったです。

「何気ない会話をしながら医療情報や介護情報を得られるのが良い」と話す利用者さん
とよなか縁結実DATA

■とよなか縁結実(庄内)
 〒561-0832 豊中市庄内西町2丁目28番6号
■北緑丘団地集会所
 〒560-0001 豊中市北緑丘2丁目1 北緑丘団地22号棟集会所

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