そんなメンバーにはどのような励ましを?

「私たちが係わった数年間は決して無駄にはならない」と伝えます。いずれ透析を受けることになったとしても、透析移行を1年でも遅らせることができれば、その人の人生のトータルの質は向上しているはずですし、医療費削減効果も大きいのです。私たちの分析では、糖尿病性腎症の人が透析に移行すると、お一人当たりの年間でかかる医療費は約400万円になります。

糖尿病から透析移行する人の中には、「(運動や食事制限が大事だと)わかってはいるけどできない」という人たちもいらっしゃるかと。どのようなマインドセットを?

「1年後、5年後にどうなりたいか」という質問をします。「健康でいたい」という願望をお持ちであればしめたもの。「ならばどうしましょう?」と掘り下げて考えていただきます。まどろっこしいプロセスのようですが実はここが大事だと考えています。掘り下げることで、「医師や世間から押し付けられた指導」ではなく「ご自身の思い」に気付いていただけるからです。私たちは、その唯一無二の思いと主治医の治療方針を照らし合わせながらアクションプランを一緒に考えます。

あなたはどういう人生を歩みたいですか?と自分自身に問いかけてもらう
患者さんの気持ちを重要視しているのですね。

生活習慣病にはこのアクションが欠かせません。たとえば、糖尿病の治療を例にとりますね。糖尿病には食事療法は欠かせないので、呉市では2か月に1回、料理教室を開催していますが、患者さんが料理をする重要性を腑落ちさせていないと、結局は「その場限り」になるのです。どんなに良いと思われるプランを提案しても、その人その人の日々の生活に活かせなければ、生活習慣病の重篤化予防には貢献しません。下記は、参加者が実際に設定した行動目標の例です。こうした具体的で実行可能な目標をご自身で決めていただくことが継続的に動くためには必要です。

参加者が実際に設定した行動目標(例)

栄養編
かけ醤油をつけ醤油に変える
野菜から食べる
夕食後のフルーツを朝に変更する
夕食後の間食を控える(やめる)
お菓子の買い置きをしない
夕食後から就寝までは2時間あける
ビールは1日500ml 2本を1本に減らす
1日1食は低たんぱく米を食べる
汁物は1日1杯にする
麺類の汁を残す
ミカンは他の人に配り、目の届くところに置かない(自宅にあるミカンの量を減らす)
                         など
運動編
バス停は1つ手前で降りて歩く
買い物は歩いていく
朝食後に20分散歩する
ストレッチを15分行う
週3回、夕食後30分ウオーキングする
よく歩き、筋力を落とさないようにする
                         など

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