現場リポ

呉市モデルに学ぶ生活習慣病へのアプローチ

呉市がまず行ったのは、ジェネリック医薬品の使用促進でした。国保に集積されるレセプトデータを分析し、ジェネリックへの移行を促す通知を行ったのです。2008年から開始し、2年後には累計通知者の約70%がジェネリック薬品に切り替えること成功。2018年の3月までの累積薬剤費の削減額は、およそ1,633,119千円。引き続き呉市福祉保健部高齢者支援課 課長補佐 前野尚子さんに伺ったお話をシェアします。

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すべての被保険者に通知したのでしょうか。

すべてではありません。ナイーブさの観点から、がんの方や精神疾患の方には通知していません。対象としたのは、生活習慣病などで長期服用が余儀なくされている方。こうした方をレセプトデータから抽出し、さらに、ジェネリック医薬品に切り替えても大丈夫だと考えられる被保険者の方に対してのみ、行いました。

今はジェネリックへの移行促進はずいぶん浸透しましたが、2008年当時はまだ馴染みがなかったはず。反発などは?

反発はなかったです。「切り替えたほうがご本人にとってメリットがある場合」にのみ通知をしたからだと思います。

前野尚子さん/呉市モデルが国からの注目度も高いとあって、登壇やインタビューの機会も数多い。福祉保健部高齢者支援課 課長補佐。 
「高齢化進む呉ではACPも重要な課題。在宅療養など、自分らしい暮らしを諦めている人の助けになるためにどう動けばいいのか…。悩みは尽きない。」
最近はエンドオブライフケアを学んだり、東北大学の臨床宗教学講座に参加したりしながら市民にとって最良の道を探っているそう。

とてもきめ細やかな呼びかけですね。どうしても事業を成功させたい、という想いが伝わりますね。ところで、「糖尿病性腎症重症化プログラム」ってそもそもどのようなことをするんですか?

専門的な訓練をうけた看護師による個別支援を6か月受けていただきます。6か月のうち3回が面接指導、9回が電話指導です。「プログラムが終われば終了」というわけではなくその後も6か月ごとにフォローアップ支援や「呉そらまめ連絡会」からの情報提供や研修を受けていただくことができ、食事は「腎臓にやさしい料理教室」で実践的に学ぶことが可能です。

効果はどうですか?

ジェネリック移行のように明確な結果が見えるわけではないのが難しいところですが、プログラム参加者のうち、約8割の方のヘモグロビンA1Cの数値が良くなっています。人工透析者数年次推移も私たちの取り組みだけの結果ではないと思いますが、やはり下がっています。

呉市提供
何もしなければ透析に近づいて行くわけですから、「維持」であっても、取り組みとしては効果ありですよね。

そういっていただけると本当に嬉しいです。真剣かつ親身に寄り添っても透析に移行してしまう人は出てきてしまいますし、透析になられた方の報告を聞くと、私たちは無力感を感じます。私でさえそうなのですから、実際に訪問に出てくれている看護師は、「ああ、これだけやったのに透析にしてしまった」とか「あんなに患者さんもがんばっていらしたのに…」と自責の念に駆られることもあるんですよ。

もう少し何かできたのではないかと自責の念に駆られる看護師もいる
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瓜生千鶴
瓜生千鶴
WEB SOLEIL 管理人。リモートワーカー歴15年。M&Cパートナーコンサルティング所属し、「医療や介護の現場で働く方の活躍を全国に広めること」をミッションに活動。つながりのある方にスポットをあてたりステージを用意することが得意でikigai。