冊子「それいゆ」では2020年1月から感染症看護専門看護師/感染管理認定看護師の新改さんに連載をお願いしていました。6か月の約束で夏前には終了予定でしたが、途中COVID-19が発生。数か月お休みをされ9月に最終回を迎えます。

短い期間でしたがありがとうございました。

このような機会をいただき本当にありがとうございました。「少しでも皆様のお役に立てたなら」と思っています。

新改法子看護師

神戸市立医療センター中央市民病院 感染管理室専従看護師。感染症看護専門看護師/感染管理認定看護師。看護師免許取得後、神戸市立中央市民病院(現在の神戸市立医療センター中央市民病院)に就職。2007年感染管理認定看護師資格取得。海外への学会発表も積極的で、2019年には日本環境感染学会でトラベルアウオード賞受賞。2020年3月名古屋市立大学大学院看護学研究科博士後期課程感染予防看護学修了

連載をお願いしたのはCOVID-19以前でしたが、途中、COVID-19が発生して大変でしたよね。

本当に…。私が勤務する病院は3月から入院を受け入れ、4月には院内感染という想像を超える事態を経験しました。現在は再発を防止すべく活動を継続しています。

院内感染を経験し、改めて感染について思うことってありますか?

感染予防に近道はないということです。感染経路を遮断することに尽きます。

感染症とは、病原体が体に侵入して症状がでる病気のことを言います。感染症の予防は、病原体が体に侵入する経路(感染経路)を断ち切ること、すなわち、接触・飛沫・空気予防策を実施することです。今回の新型コロナウイルス感染症は、飛沫感染と接触感染、そして3密空間における一時的な空気を介した感染です。飛沫感染は、感染している人が、会話や咳・くしゃみをした時に口や鼻から出てくるウイルスを含む飛沫を人の目や鼻・口に付着したり入り込むことで感染する経路、接触感染は、ウイルスで汚染した環境などに触れた手で、目や鼻、口を触ることで感染する経路です。この感染経路を遮断するための対策は、手指衛生、咳エチケット、飛沫を飛ばさない行動の徹底、3密を避けるためのソーシャルディスタンス、ユニバーサルマスキングの実施です。

よく言われることですよね?

そうです。具体的な場面の一部を記します。よく言われることですがこれらの遵守が極めて大切です。

手指衛生WHOが示す手指衛生が必要な5つの場面、休憩エリアに入る時、共有物品(電子カルテなど)の操作前後、食事前など
マスクの着用患者の対応や職員同士の会話時
アイシールド患者の対応時(患者が不意にマスクを外したり、マスクが着用できない場合の職員への飛沫曝露の防止)
3密を
避ける工夫
院内啓発班の結成と分かりやすい啓発ポスターの掲示
ユニバーサルマスキングって一般的には聞きなれない言葉ですが…

COVID-19の感染者は、症状が出る2⽇ほど前から症状出現直後にかけて感染性を発揮すると考えています。つまり、どなたが感染者なのか全く予測できない状態です。医療機関ではマスク着用がデフォルトでなくてはなりません。ユニバーサルマスクもそうですが、感染予防は、「手を洗う」、「マスクを外した時は会話をしない」、「個人防護具を適切に着脱する」などをやる他ありません。

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